漏水、水漏れを放っておくと、どうなるのか?
実際に漏水事故や水漏れの施工事例を見ていきましょう
水が一旦、漏れ出すとじわじわと、あらゆる場所へ侵食していきます。建物には木材や鉄、コンクリートが主に使われています。
これらの部材は水に反応し、水分を含んでいると腐食または腐朽していきます。建物の重要な部材が含水率が適切でない場合、急激に進行していきます。
1 木材
木材の腐り方によっていくつか種類があります。代表的な腐り方は、軟腐朽、褐色腐朽、白色腐朽などと呼ばれているものが挙げられます。
軟腐朽は常に濡れている箇所、つまり水回りに多く、表面が黒っぽくなるのが特徴です。
褐色腐朽は木材に亀裂が生じ、指でつまむと粉状になります。
白色腐朽は濡れたり乾いたりするサイクルが早い場所や、寒暖差の大きなところでよく起こります。木材が白く変色する特徴があります。
木材の腐食は雨が漏れてきたところから広がっていくことがほとんどですので、応急処置はもちろん、本格的な修理の必要がある場合も急ぐ必要があります。
2 鉄
鉄の腐り方は錆が発生して、化学的な作用によって部材の外見や機能が損なわれていきます。
鉄に水がかかると、鉄の原子を移動している自由電子(e-)が奪われ、プラスの鉄イオンに変化します。この鉄イオンは電子を引き寄せ、酸素原子や水素原子と結合します。やがて水が乾くと、水を構成している水素原子と酸素原子が蒸発し、酸化鉄が「錆」として表面に残るのです。
3 コンクリート
コンクリートを腐食させる代表的な物質は酸です。
コンクリートは、3つの材料、砂と砂利と砕石をポルトランドセメントで作ります。
このポルトランドセメントは石灰岩(炭酸カルシウム)と粘土等の鉱物を一緒に高温で焼いて、粉に砕いて作られますから、カルシウムを含む種々の無機塩類の混成体になります。
これに水が混ざると、それら鉱物由来の無機塩類がゴチャ混ぜになって水と化学結合(水和)して“複合カルシウム塩水和物”とでも言うべき固体になります。
水道水は中性ですが、水漏れなどでコンクリートに水分が残っていると、空気中の炭酸ガスと反応し、エフロレッセンス(漏水跡)が発生します。コンクリートやタイル目地が白色に変色している部分があるとエフロレッセンスが起こっているということになります。
エフロレッセンスは「白華」、「エフロ」とも呼ばれ、コンクリートの表面で、水に溶けた成分が析出し目に見える形になる現象です。
エフロレッセンスの主成分は炭酸カルシウムCaCO₃で構成されています。
コンクリート中に含まれる水酸化カルシウムCa(OH)₂が水に溶け移動し、表面で空気中の二酸化炭素CO₂と反応して炭酸カルシウムCaCO₃が生成され、白色のエフロが発生します。
特に冬季に発生しやすいとされています。
夏季は高温のため水分がコンクリート表面に移動する前に蒸発するので発生しにくくなります。逆に冬季は低温で水が蒸発しにくくなります。
同じ理由で雨や雪、梅雨など湿度が高い状態が続くと発生しやすいとされています。
エフロレッセンスには一次エフロレッセンスと二次エフロレッセンスがあります。
一次エフロレッセンスは、コンクリートに含まれる水分が余剰水としてコンクリート表面で蒸発するため比較的早期に生成され、その結果白く見えることがあります。
二次エフロレッセンスは水漏れ、雨水、地下水、など外部の水がコンクリート内部に侵入した後表面に移動し生成するもので、水の移動が容易なひび割れやその周辺で、局部的に発生することが多いです。
そして空気中の炭酸ガスや酸性の雨に反応して、成分が溶け出してコンクリートがスカスカの状態になっていきます。
酷い状態は、コンクリートに鍾乳洞のような、つららが発生していることがあります。これはコンクリートの内部の鉄筋と水が反応して、表面に現れてきています。この状態は、構造的にも建物が弱って行ってしまうので、補修工事が必須となってきます。
補修のやり方は、樹脂を注入するのが望ましいです。表面をセメント材で補修したとしても、内部のスカスカの状態は改善されません。
注射器や、注入ガンを使って、エポキシ系の樹脂を注入しましょう。
コンクリートや外壁にひび割れがある状態だと、そのひび割れ部から水が侵入し、こんな状態になってしまいます。
こうなってしまうと、補修の費用が余計に多くかかってしまいますので、まずエフロの発生とひび割れを見つけたら、リスペックへ調査依頼をご依頼ください。